こんばんは、競技責任者兼コースプランナーの種市です。今回の記事はコース解説です。M21Eクラス、W21Eクラスに絞って解説します。このクラスを走られた方はもちろん走っていないという方も是非読んでみてください。(地図画像はクリックで拡大します。また、無断転載・転用を禁じます)
上位者のルートがcomp.olk.jp/40/rg2/rg2/に載っていますので、そちらも併せてお読みください。
ロング競技の目玉はなんといってもロングレッグです!まずM21Eの3本あるロングレッグを順を追って解説します。
まずは2→3。前半特に1→2や2→3でロングレッグが欲しいとコースを練る前から考えていました。自分が競技者だったら初めにロングレッグが来たら戸惑うなと思ったからと、WOCでも前半にロングレッグが取り入れられているのを知って面白いなと思ったからです。
距離比較
青ルート 1050m
茶ルート 1220m
の2つのルートが考えられます。青ルートがプランナー想定のベストルートです。
茶ルートは、青ルートに比べて距離は長くアップは多い分アタックは簡単です。前半なのでリスク回避をして茶ルートを選択する選手もいるだろうと考えこのレッグを設定しました。
しかし、上位6選手は全員青ルートを選んでいました。このレッグではアタックでミスをしている選手が多く、寺垣内選手、結城選手、小泉選手が1分以上のミスタイムをつけていました。切り開きを通って分岐からアタックした伊藤選手はミスなくこなし、この区間最速の4:51をマークしています。
青ルートを選ぶ場合、r5を横切った際に現在地把握がしずらいので思い切ってハッチの中の道に出ることがこのレッグで好タイムを出すカギになりそうです。
~コース設定裏話①~
プランナーの思いとしては2→3にもっともっと長いレッグを作りたかったのですが、回しや使うエリアのすみ分けを考慮して短くなりました。
次は13→14です。とにかく下るレッグなので、スピードが出せるかつその中でベストルートからそれないことが大事になります。
距離比較
赤ルート 1650m
黄ルート 1530m
の2つのルートが考えられます。赤ルートがプランナー想定のベストルートです。
赤ルートの方は、アタックが簡単なのと後半の区間がスピードを出せるのが強みです。一方黄ルートは距離が短いのが強みですが、アタックが難しいことに加え斜面を横切る際に減速してしまいます。また意外にハッチエリアでの減速が大きいのではないかと思います。これらを考慮すると赤ルートの方が早いと思います。
上位6選手のうち5選手がおおよそ赤ルートを選んでおり、小泉選手が7:58で2位ラップを記録しています。なおこのレッグ最速は柴沼選手の7:57でした。赤ルートを選ぶ場合、斜面に流されて西の方へ行ってしまわないように脱出の際に北西に脱出し、傾斜変換の段を降りないことが重要だと思います。
~コース設定裏話②~
赤城のロングレッグはどうしても北から南や、南から北へのレッグが多くなってしまうので大胆に下るレッグを取り入れようと思いこのレッグを入れました。そのために13まで頑張って登ってもらいました。
続いて15→16。このコースの中でメインのロングレッグです。
距離比較
青ルート 2050m
オレンジルート 2180m
紫ルート 3560m
緑ルート 3520m
の4つのルートが考えられます。青ルートがプランナー想定のベストルートです。
青ルート、オレンジルートは距離が短いことが強みです。他の2つに比べると1.5km近く短いです。ただ上手くルートどりをしないとかえって遅くなってしまうのがこのルートの特徴です。
次に多くの選手が選択した紫ルートです。距離は伸びますが、終始ナビゲーション負荷は小さくアタックも比較的簡単です。後半にミドルレッグがあることを考えると、このルートチョイスは良いルートチョイスと言えます。
最後にほとんどの人が選択しなかった緑ルート。終始道を走り、最後に一気登りがあるルートチョイスです。フィジカルに自信のある方は早いかもしれません。
M21Eの上位6選手がこのレッグの1位から6位を占めており、トップタイムをたたき出した伊藤選手は青ルートから紫ルートに乗り換えています。2位の結城選手も伊藤選手に近いルート、3位の寺垣内選手は紫ルートを選択しています。真っ直ぐの青ルートを選択した上島選手、小泉選手も好タイムを出しており結果的に青ルートと紫ルートはほとんど変わらないと思われます。
W21Eでは青ルートの稲毛選手、伊部選手が1.2位、紫ルートの増澤選手が3位となっています。こちらも青ルートと紫ルートで大きな差はついていません。
~コース設定裏話③~
プランナー的には緑ルートを選ぶ人がもう少しいればなあと思い少し残念です。緑ルートを作るためにフィニッシュの位置を西へ移動し、このルートの導線を作っただけに寂しい気持ちもあります。
しかし実際に緑ルートを試走してみたところ後半の登りがとてもきついので良いルートとは言えなさそうです。16の位置をもう少し西へ移動しようとも考えましたが、後半のレッグ線との兼ね合いもありこのレッグになりました。
コース設定前から、超ロングレッグをどこかに入れたいと考えていました。このレッグがあることでロングらしさが増したのではないかと思います。
次はW21Eです。
距離比較
青ルート 1010m
赤ルート 1220m
の2つのルートが考えられます。青ルートがプランナー想定のベストルートです。
こちらもM21Eと同じく前半のレッグなのでリスク回避して赤ルートを選ぶ選手がいるだろうと思って組みましたが、上位6選手は青ルートを選んでいます。青ルートは距離が短くもアップも少ないので、アタックでミスをしなければ良いルートです。一方、赤ルートは舗装道を使える区間が多く、上からのアタックなのでフラッグが見やすいというメリットがあります。
この区間最速は勝山選手の7:47でした。青ルートのポイントとしては、脱出時の方向維持とアタックです。脱出は、少し下るイメージと右側のやぶを見るとスピードを出せると思います。アタックは植生界の終わりなど、確定点を定めることが大事だと思います。
距離比較
青ルート 970m
オレンジルート 820m
の2つのルートが考えられます。青ルートがプランナー想定のベストルートです。
青ルートの方がスピードの出る区間が多く、またアタックが簡単であるため良いルートだと思います。オレンジルートは距離は短いものの長い登りでスピードが落ち、アタックの難しさで遅くなるのではないかと考えました。
区間トップタイムを出した稲毛選手は、青とオレンジの中間のルートを取っています。青ルートを取ったのは増澤選手、Lui Wai Lan選手。オレンジルートを取ったのは伊部選手、盛合選手です。いずれもミスタイムはあまりついておらず、結果的に青ルートとオレンジルートに大きなタイム差はなさそうです。
以上でコース解説は終わりです。最後まで読んでいただきありがとうございます!!